みかんの表年・裏年
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2018.10.30
猛暑も過ぎ去り、一気に肌寒い季節になりました。そろそろこたつを出すかどうか、悩む方もいるのではないでしょうか。暖かいこたつでのんびりしながら、みかんを食べるのは、冬の風物詩ですね。
毎年、季節が来るのが楽しみなみかんですが、1本の木に実るみかんの数は、もともと年によって異なることをご存じですか?
みかんには、本来「隔年結果」と呼ばれる現象があり、たくさん収穫できる「表年」と、そうでない「裏年」というものがあります。
みかんは、果実が実ろうとしている間に、既に翌年に実を付ける「花芽(はなめ)」の形成が行われていますが、実がたくさんなった年は、木が糖を多く消費し、次の年に実を結ぶための花芽の成長が抑制されてしまいます。
その結果、実がたくさんなった「表年」の翌年は、実のなりにくい「裏年」になる傾向があるだけでなく、実らせ過ぎによる木への負担で、品質も落ちてしまいます。
さらに枝に着目してみると、より顕著です。果実を付けた枝にはその年は花芽ができず、翌年は果実ができません。そして果実ができなかった枝は、1年間成長に専念し、その次の年に花芽を付けて果実を実らせるのです。
全ての枝に実がなるわけではない
写真の中央上部が昨年実がなった枝
しかし生産者も、消費者の方も、年によって味や収量、さらには値段に違いがあると困りますね。
そのため農家の方々は、毎年の品質と収量を安定させるために、枝や芽を切り取る剪定(せんてい)を行うことで、つぼみや花の成長の度合いを調整し、果実をならせ過ぎないよう工夫しています。1本の木に、今年実らせる枝と、来年実らせる枝を混在させ、葉っぱの枚数に対する実の数なども調整しているのです。
剪定は、樹齢や季節によって、切る場所や切り方・切る量なども変わる、とても複雑でデリケートな作業です。
たくさん実らせればいいものではないのが、みかんづくりの難しさの一つです。
農家の方は、一年中みかんの木を見守りながら、丁寧に剪定を行い、品質を維持しているのです。
撮影日 2018年10月上旬