成長が始まるみかんの実
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2019.5.29
5月頃に満開を迎えた花が散ると、みかんの赤ちゃん「幼果」が顔をのぞかせます。果実は、これから夏・秋に向けてどんどんと大きくなっていきます。
松尾芭蕉の詠んだ句に「行く秋のなほ頼もしや青蜜柑」というものがあります。秋が過ぎ、冬に向かって木々の色が寂しく移ろう中で、夏を思わせるみかんの緑色が頼もしい、というみかんの季節的な特徴が表現された句です。
みかんは秋口頃までは緑色で、そこから冬に向けて黄色くなり出荷を迎えます。
冬が旬と聞くと寒さに強いイメージですが、みかんをはじめとしたかんきつ類は、基本的に寒さに弱い傾向です。みかんの多くは本格的な冬に入る前に収穫されますが、冬を越し、2月、3月に収穫される中晩柑などは、一つ一つ袋を掛けて、寒さや霜から守る必要があります。
では熱帯など、冬にも暖かい地域が良いかといえば、今度は気候や降水量などが問題になります。単に育てるだけなら別ですが、甘くておいしいみかんを作るには、安定した天気や適切な水分の管理が大事です。世界的なみかんの生産地を見てみると、大きな産地は中国やスペインなど、比較的温暖で穏やかな気候の地域に集中しています。みかんは育てやすい果物だと言われますが、良いみかんを作るための場所は意外と限られていますね。
西宇和は、こうした温暖で自然豊かな気候に加え、しっかりと太陽に当たり、段々畑による適度な乾燥状態を作れるという、世界でも有数の環境があります。
近年は気温や天気など気候の変化もあり、それに適応した育て方が求められますが、良いみかんを育てるという思いは変わりません。
これからも、日本の文化における身近な存在として、西宇和のみかんを日本の家庭にお届けします。