日本の柑橘史 その2
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古事記や日本書紀と同じく、奈良時代に編纂されたといわれる万葉集には、橘(たちばな)を題材にした歌が数多く収録されています。当時の柑橘(かんきつ)は酸味が強かったため食用ではなく、乾燥させて薬用とすることや、観賞の対象として人々の生活に彩りを加えていました。

平安時代の古今和歌集の中には、「五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」という有名な歌があり、良い香りのする橘が服に焚く香としても使われていたことがうかがえます。

また奈良時代には、ユズやカラタチが日本に伝わりました。ユズは強い酸味とさわやかな香りが特徴で、薬味など料理のアクセントとして使われたり、体を温めるために湯船に浮かべたりしますね。カラタチは一般に食用とされないため、あまりなじみがありませんが、鋭いトゲのある枝が特徴的で、病気や寒さに強い性質を持っています。これらの柑橘、特にカラタチは丈夫な特性を持つことから、みかんをつぎ木して育てる際の台木としてよく使用されます。

ユズ

ユズ

カラタチ

カラタチ

現在の日本で代表的な柑橘となっている温州みかんは、1600年頃に中国から伝わった柑橘から偶然発生したといわれています。その場所は現在の鹿児島県である薩摩です。
しかし最初の頃は、種がないことは縁起の悪いものと考えられ、広く浸透することはありませんでした。その後、時代の変化とともに、味の良さや種がないことの食べやすさが評価されるようになり、広く栽培されるようになったといわれています。

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