温室みかん みつる共選 富田駒利さん
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インタビュー

2021.7.15

夏場はみかん・中晩柑(ちゅうばんかん)とも成長段階で、出回るかんきつはほとんどありません。
そんな中でも、お店に並んでいるものが、温室で育てられたみかんです。

温室

屋外で育てられる「露地(ろじ)みかん」に対して、ビニールハウスで育てられ「温室みかん」や「ハウスみかん」と呼ばれるみかんですが、一体どのように育てられているのでしょうか。

今回訪れたのは、みつる共選で温室栽培を行う富田駒利さんの農園。
にこやかで優しい富田さんに、温室みかんの生育について教えてもらいました。

みつる共選 富田駒利さん

「剪定などの作業を終え、温室みかんの生育が始まるのは12月のはじめで、この頃から加温をはじめます。それから少しずつ成長し、3月にはさらに温度を上げて夏と同じ環境を作り、7月にはすべての収穫が終わりますね」

12月といえば、みかんの出荷が佳境に入っているところですね。温室みかんはちょうど露地栽培のみかんと反対の時期に育てることで、夏場に出荷することができるのです。
訪れた7月中旬には、もうすぐ出荷を迎えるだいだい色をしたみかんが実っていました。

温室みかん

温室みかんの育て方について尋ねると、「露地で栽培するみかんと同じような環境をつくっていますね。例えば、成長の時期では室温は最低でも25度になるようにし、最後の仕上げの段階では水分を減らしてしっかりと糖度を上げます」

ただ、環境を調整できるといってもすべて思い通りにいくわけではなく、木が自然に実を落とす「生理落果」という現象もあり、少し温度が変わっただけでかなり実を落とすこともあるそうです。
やはり露地栽培と同じくそれぞれの木の様子を見ながら、細心の注意を払って調整することが大事だといいます。

最後に温室栽培の良い点について次のように話してくれました。
「気温や気候の影響を受けにくく、温度や水の量にいたるまでしっかりと管理できることです。その分、電気代や燃料、ハウスの管理などの費用はかかってしまいますが、おいしいみかんのための理想的な環境を整えることができます」

みつる共選 富田駒利さん

富田さんによると、昔はもっとたくさんの場所で温室栽培が行われていたといいます。それが、燃料の高騰や中晩柑の増加もあり、少しずつ育てるものが変わったそうです。
富田さんもみかんをはじめ、せとかや甘平といった中晩柑など、さまざまな品種を育てていました。写真では手前の木が「甘平」で、奥に少し見えるハウスで育てている品種が「せとか」とのことです。
時代とともに、かんきつのあり方も変わっているのかもしれません。

温室栽培

温室みかんは育てるための費用や手間もかかっており、値段こそ少し高くなりますが、恵まれた環境で育ち、とても甘くておいしい仕上がりになっています。
ぜひ暑さで疲れのたまる夏に食べたいですね。

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